なっちコンについて思うこと

最後に、以前から今回書くことにしていた「なっちコンに対する思い」について書きたいと思います。長いですので、興味のある方だけお読みいただければと思います。

(以下、ライブのネタバレを一部含みます。)






これまで、「安倍なつみ コンサートツアー」という形では、現在開催中のものを含めて計10回のツアーが行われています。

安倍なつみ ファーストコンサートツアー2004 〜あなた色
安倍なつみ コンサートツアー2004 〜あなた色プレミアム〜
安倍なつみ コンサートツアー2005秋 〜24カラット〜
安倍なつみ コンサートツアー2006春 〜おとめちっくBANK


安倍なつみ コンサートツアー2007春 25〜ヴァンサンク〜
安倍なつみ Special Live 2007秋 〜Acousticなっち〜
安倍なつみ Special Live 2008夏 〜Acousticなっち〜
安倍なつみ コンサートツアー2008秋 〜Angelic〜
安倍なつみ Summer Live Tour 2009 〜やっぱりスニーカーがすき!〜
安倍なつみ 秋ツアー2010 〜Autumn voice〜


(※「安倍なつみ 歌とトークのふれあいコンサート」(2005年)、ディナーショー系のものは除く。)


上の一覧は2006年以前の4つと2007年以降の6つ二つのグループに分かれています。では、2006年以前と2007年以降で何が変わったのか。一つはツアーゲストがいなくなったこと。そして、もう一つの決定的な違いはコンサートの形態です。2007年にそれまでのカラオケコンサートから現在のような全編生演奏のコンサートに変わりました。*1
コンサートの形式の変化。それは「安倍なつみという歌手が、それまでのアイドル路線からアーティスト路線に大きく舵を切った」と捉えても何の違和感もない出来事だったと思います。少なくとも、私はそう思っていました。去年の夏までは・・・。


2009年のツアーのアンコール2曲目(一部の公演を除く)「恋にジェラシー申し上げます」。この時、感想としてこう書きました。

●「恋にジェラシー申し上げます」

現在のなっちの持ち歌の中で、盛り上がる曲のレパートリーが少ないことは重々承知していますが、敢えて言わせてください。


この曲でジャンプさせてみたり、サビで「オイ!オイ!オイ!オイ!」と言わせる発想は5年前の発想では?


この曲でのなっちからの煽りが半端でなかったのですが、個人的には今回のなっちコンにおけるこの曲での盛り上げ方は、これまでなっちコンが歩んできた道に逆行するものであると思います。


この曲が久しぶりに聴けたことは良かったですし、一緒になってジャンプしたり「オイ!オイ!オイ!オイ!」と言っていたのは事実ですが、それと同時に「何かが違う」と感じたこともまた事実です。


http://d.hatena.ne.jp/omoide22/20090803


ツアーが生演奏形式になって以来、バラード曲での声援は無くなりましたが、盛り上がる曲での(PPPH+なっちコール等の)声援は残っていて、私の意見としてはただ騒ぐための声援は止めて欲しいと思っていました。ただ、それまではなっち自身もそういったスタイルは徐々に縮小させていく方向で考えているものだと思っていたので、実はそうではなかったと知ったこの時は相当なショックを受けました。正直「なっちのファンを止めることまで視野に入れるべきか」という考えが頭をよぎったこともありました。


それから一年。ようやくその迷いが吹っ切れました。その経緯は省略しますが、舞台「エブリ リトル シング '09」や「2期メン12周年ライブ」といった圭ちゃんの力を借りていることだけは一言述べておきたいと思います。


いろいろ考えた中で得た、“現時点での”結論は二つ。

1. 「安倍なつみ」はその存在自体が「アイドル」である。だから、なっちには、アイドルとしてとかアーティストとしてとか一人の人間としてとかいった枠にはとらわれずに、なっち自身の思った方向に進んで欲しい。


2. 私の考えとしては、なっちコンの曲中にただ騒ぐための声援は不要である。但し、なっち自身が「ここは盛り上げて欲しい」という意志を示した場面では、微力ながら盛り上げに協力させていただきます(笑)


1については、以前から言っている「20xx年の安倍なつみを感じていきたい」という言葉の意味とほぼ同じです。ただ、一つ新たに加わったのは、なっちの持つアイドル性については、コンサートの方向性という一見それとは無関係に思える事柄においても考慮しなければいけないという部分です。
ちなみに、今日の記事のタイトルはそういう意味を込めて付けています(笑)


2については、「送り手と受け手の意思」の問題です。現状、受け手の方は盛り上がりたい派と落ち着いて聴きたい派が共存している状態であるように感じます。そういった観客構成のライブで双方の満足度を上げるためには、双方の妥協点を探るというアプローチよりも、送り手の意思でスイッチを切り替えるアプローチの方が良い結果が出るのではないかと考えるようになりました。


ということで、これが私が今まで悩んできた「なっちコンの方向性に対する折り合いの付け方」である、という言い方もできると思います。ただ、また何年か経てばいろいろな状況が変わると思いますので、これは“現時点での”結論ということにしておきます。



最後に、今回のライブに行って感じたことを一つ書いて、この話の締めとしたいと思います。


今回のメドレーがとても印象に残ったことは先ほども述べました。「メドレーの中にストーリーを作る」という試みは、女優としての活動も行っているなっちのコンサートとして、新たな軸になり得る路線だと思います。ただ、その路線を継続しようとすると、そこには重大かつ本質的な問題が潜んでいます。


今回のライブの感想では、「盛り上がる曲の配置」についても触れました。セットリストについては、各ツアーで違った形を作っていかなければならないので、毎回苦労するところではあろうと思います。そこで、セットリストのバリエーションを考えた時、やはり同じ問題に行き当たると思います。


その問題とは、「持ち歌の数が決定的に少ない」ということです。


先に述べた“ツアーの転換点”である2007年以降、「安倍なつみ」が新たに発表したのは19曲。それ以前にリリースしたのはシングル8枚、アルバム2枚なので、その他もろもろ合わせても、現在までにソロ名義でリリースしたのはトータル50曲+αという程度だと思います。(今ざっと数えた結果なので、誤りがあればご指摘願います。)

【2007年以降にリリースされた「安倍なつみ」名義の楽曲数】


シングル曲 4曲
カップリング曲 4曲
ミニアルバム「25〜ヴァンサンク〜」中の新曲 5曲
ベストアルバム中の新曲 3曲
その他 3曲(安倍なつみ矢島舞美、「かもめ児童合唱団」のゲスト)


計 19曲


この数は、ライブが年に数回というのであればいざ知らず、毎年ツアーを行っている(ソロデビュー)7年目のアーティストの持ち歌の数としてはかなり少ないのではないかと思います。これではどうしても同じ曲を多用せざるを得ない訳で、アレンジや演出で目先を変えるのもそろそろ限界に達しつつある感じがしています。いや、限界に達していると言ってもよいかもしれません。


という訳で、なっちに関して今一番要望したいのは、


「アルバムをリリースして欲しい!」


ということです。来年のツアーはニューアルバムを引っ提げて、という形で行って欲しいなと強く願っています。

*1:2006年春はカラオケ主体で一部生演奏でした。